今を生きる コロンバスにて 北川克己

論文ねつ造問題

私は直接関わった訳でも詳しく調べた訳でもないので、最近の阪大と東大の論文ねつ造疑惑問題に関してはなんとも判断の下しようがないですが、論文に出た変異マウスが存在しないあるいは存在した証拠すらないという話が本当なら、これはねつ造ということになるでしょう。東大のは限られた情報では難しいです。最近ではダイレクトにコンピュータにデータがアウトプットされることも多いですから、そのデータが失われる可能性も否定できませんし、元々の疑惑の理由である他のラボが再現できないというのは、単にその他のラボの技術不足の可能性も否めません。私の個人的な意見としては、生データ云々の保持を怠ったことは確かに間違っていますが、これは出入りの激しい特に大きいラボではよくあることですし、この落ち度は、ねつ造ほどの悪とはだいぶ差があると思います。

間違いとねつ造では全く異質のもので、このボーダーラインは大事だと思います。正確なデータを発表することは本質的なものですが、やはり人間のやることで間違いはつきものです。再現性も、難しい実験のときは、その結果の判断も非常に難しい。長い時間をかけて何度も何度もその信憑性を確かめてそして発表するのが理想的ですが、現実的にはプライオリティーの問題があり、極端な話ですが、いいかげんなデータでも先に発表したものが、後から出したとてもきちんとした信頼のできる論文よりも評価をうけることになるというこの世界での価値観のあり方という問題もあります。これをどこで線を区切るか、大変難しい問題です。私の場合は、損をしそうな後者側に属しそうですが、どうやってバランスをとるのか常に悩んでいるのが現状です。

ねつ造は”嘘”ですので、もうこれは言うまでもなく、あってはならないこと。日夜汗水たらして実験し、真理追究にはげんでいる全科学者を冒涜するものです。これに関しは怒りももって処罰してかまわないのではと、個人的には考えます。

嘘に関してですが、少し面白い考察があります。私の考えでは、一般のアメリカ人(アメリカ生まれのリベラルでも保守でも)は嘘に関してとても厳しいです。日本人のトップ研究者からみたアメリカ人のデータは、概してですが、構図がいい加減だったり、汚かったり、なんというか、きちんとしていないことが多いのですが、つまり、そういうことにはおそらく寛容な文化的バックグラウンドがあるだと思います。しかし、嘘に関しては、かなり細かい点に関してまで、厳しく考えている、少なくとも一般の日本人よりは、と私は思います。日本人研究者でそういう美しいデータのようなものにこだわり、フォトショップで余分なバンドあるいは自分がごみと思うシグナルを消すとか、そういうことを誰かがしたというのを聴いたことがありますが、これは私は嘘だと思います。論文の趣旨を変えるほどのものではないので、偽造と言っても大問題にはならないと思いますが、この目立たない偽造を許してしまう感覚が危険だと私は思います。先ほど述べたアメリカ人なら、そんな汚いデータをそのまま堂々と出すでしょう。どうしてその余分なシグナルが『ごみ』だと判断できるのか?私には全く理解不能です。それはもしかしたら、何年か後に何か重要な発見に結びつくかもしれません。同じようなデータを出した他の論文にもあるかもしれません。もし、そのごみと思えるシグナルがいくつかの論文に載っていたら、誰かが気づくかもしれない。でも、故意に消されてしまっては、その可能性も下がってしまいます。

これは文化の問題とも結びつきますが、端的に申しますと、日本人の謙遜のやり方はアメリカ人あるいは他の外国人にとっては、ある意味いやらしい嘘です。本当はできることをできないといってみたり、やっていることをやっていないといってみたり、なんでこそこそ隠すのか、全く理解できない人も多いのではないかと思います。アメリカ人にも謙遜はありますし、している方が威張っているより嫌われないし、むしろ好かれます。でも、嘘はつきません。たとえば、ある実験を君はできるのか?エキスパートだろう?と聞かれたとします。普通の日本人なら、ちょっとはできるけど、エキスパートではない。アメリカ人なら、Sure. Count on me.で、その聞いた人はそう返事をしたアメリカ人に聞くことになります。そして、その直後にその日本人がその同じ実験をして、素晴らしく奇麗なデータをたとえばラボミーティングで発表すると、その質問した人はどう思うでしょう?あいつ本当はあの実験できるくせに嘘つきやがった、俺に教えるのが嫌なのか。と思うでしょう。聞いたのが、日本人なら、”またまた、そんなこといって、教えてくださいよ。”ってことになるでしょうけど、アメリカ人はそんなことは言いません。何故なら、それは”おい、お前嘘つくなよ。本当はできるんだろう”と聞かなくてはならないからです。もちろん、親日家でよく日本人のことを知っているアメリカ人はこの謙遜の概念を理解していますが、あまり快くは思っていないと思います。真実や正義よりも、嘘でも平和を保つのが文化であるということなのでしょうか。私は日本の文化を否定しているわけではありません。この様に他の文化の人は感じることもあるということです。おとなしくしていたはずなのに、何故か嫌われることにならないように。
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# by katsumi_kitagawa | 2005-12-05 11:01

靖国問題

個人的な意見としては、総合的に見て小泉首相の靖国神社参拝は反対です。しかし、これはそもそも、小泉さんが私的参拝というなら、他人がどうのこうの言う話ではないのではないかと思います。公用車を使っての参拝というけど、じゃあ私的な用事だから実際警備上の問題で地下鉄でちょっと参拝というわけにも行かないでしょう。個人的にどんな映画を見ようが、お墓参りに行こうが、ラーメン食おうが、彼の勝手でしょう。公人である首相が特定の映画を見たり、音楽を聴いたり、カツ丼食ったりしてはけしからんとは、日本は個人の自由を保証する国家ですから、マスコミがさわぐこと事態おかしいのです。裁判も地裁、高裁と違憲と出たようですが、この判決一見リベラルですが、私にはどっちかといえは、個人の自由を阻む観点からすれば、逆にも思えます。つまり、公人であるからには自由は無いと言っているのです。

ちょっと思ったのですが、神社参拝もインターネットでやったらどうなるのか。寄付もクレジットカードでやればいい。小泉さんが休憩時間に何にアクセスしたまで、マスコミはチェックするのでしょうか。それとも、やはり小泉さんは報道されることを意識しているのか。それならば、マスコミ側も無視した方がなどど思ってしまいますが、マスコミもーそれぞれの報道機関も何が目的なのかーただ事を荒立てるのが目的なのかといぶかしげに思います。現在のような恣意的な報道姿勢では、表面的には左翼的な報道機関によるものは、アジア隣国の反日感情を刺激し、右よりのものは、日本国民のそれに対する反発をより促しているようで、ただ状況を悪化させているような気がします。
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# by katsumi_kitagawa | 2005-12-04 22:07

ブログ

実名でブログをすることには多少の緊張がありますが、なるべく直接の仕事の話は避けた方がいいこと(confidentialなdataに対しての配慮)と他人の実名を出すことは避けるようにする2点を気をつければ、おそらく問題はないだろうと思い開始に踏み切りました。

と、言った直後で、いきなり実名を出しますが、柳田充弘先生のブログ、柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagidaについて少しお話したい。柳田さんに関してはご自分で公開したブログをお持ちですし、それについて述べるのであればかまわないであろうとの判断です。私は、星野仙一さんの星野仙一のオンラインレポートと柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagidaの二つのブログはほぼ毎日読んでおり、このお二人のブログでの発言が私の人生に与える影響は計り知れないと言えます。ただ、星野さんのブログは彼がドラゴンズの監督時代に始めたときから、およそ10年前から読んでおりますが、柳田さんのはこの夏から読み始めたという違いはあります。しかし、私も若輩者ではありますが、科学者の端くれなので、世界でもtop scientist と言える柳田さんのブログはより直接ためにもなりますし、毎日の研究生活の励みにもなります。

簡単に言ってしまいますと、二人のファンとして考えるに、二人には共通点が多いと思います。どちらも人格者ですし、信頼できる人っていう感じ=リーダーシップというものを持ち合わせていますし、信奉者も多いのではないかと思います。この話はまた、いつかするとして、私がブログをやろうと思った一つの理由は、柳田さんのブログはつい最近まではコメントを書くことが可能だったのですが、それができなくなったことです。私は性格的に何かこう黙っていることができなくて、特に私の納得できない失礼や否定的なコメントに関しては、もういてもたってもいられなくなってしまって、ほぼ毎日コメントを書き込んでいました。それで、コメントできなくなって残念だったのですが、止めてくれてほっともしています。結構大変だったので。

それで、そこに書かさせてもらえないなら、自分でブログ作って書けばいいじゃないかと思いまして、いや、ずーと思っていたのですが、やっと重い腰をあげた次第です。

私のような特に有名でもない生命科学者が、柳田さんに対抗してなどというのは恐れ多いことですが、真似というのは科学者の端くれとして抵抗がありますから、密かに対抗するということにしようと思います。柳田さんはエリート中のエリートですから、もしかしたら、彼の意見よりも私のに共感してくれる人もいるのではないかという密かな期待もあります。
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# by katsumi_kitagawa | 2005-12-04 08:33

Associate Professor at Nationwide Children's Hospital, School of Medicine, Ohio State University
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